Abrodictyum laetum

2011/5/21

Abrodictyum laetum
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非常に特殊な、ニューカレドニア固有種のシダ。
第三回ニューカレドニア採取はこの子を探す旅でした…
無事発見できたのは僥倖と言わざるを得ません。
諦めて気紛れで登った山の頂上の一つ手前の沢とその隣の沢(と言うのもはばかられるような狭い、雨の日に水が流れるだけの通り道)にのみ数百株程度のパッチを見つけた以外、他の何処でも見る事はできませんでした。
しかもそれらは沢の入り口付近にしか生えておらず、5メートルも進めばそれより奥には一株も姿は在りません。
きわめて限定的な環境に、きわめて局所的に産ずるようです…
我ながら、よく見つけたものだと…

その姿はボルネオに産ずるTrichomanes meifoliumに非常に酷似していますがラエタムは幹立ちします。
しかし特殊すぎる葉姿を見れば誰だって何某かの関連を疑う事でしょう。
例えばメイフォリウムからラエタムに特殊化した…またはその逆とか。
都合の良い事に、メイフォリウムに非常に酷似した(外見上では見分けのつかない)コケシノブとして、Abrodictyum asae-grayiと言う種類があります。
このアサエ-グラワイ(?)は根茎が這い、ラエタムとはまた異なりますが、メイフォリウムも根茎が這い、この二種は全く同じもののように思えます。
メイフォリウムがボルネオに産じ、ラエタムに該当する種はボルネオに無い。
アサエ-グラワイはニューカレに産じ、ラエタムも産ずる。

なら単純に、アサエ-グラワイ=メイフォリウムで、ニューカレで固有化し特殊化したアサエからラエタムに進化した、と考えると凄く解りやすいです。
でもそれは所詮妄想…なんとこのラエタムは、Abrodictyum dentatumから特殊化したものだというのです。
デンタタムとは、アジアのオニホラゴケに酷似したコケシノブです。
この面白さ、解りますか…?


アジアのCephalomanes obscurumとニューカレのAbrodictyum dentatumは恐ろしいほどそっくり。
アジアのTrichomanes meifoliumとニューカレのAbrodictyum asae-grayiは恐ろしいほどそっくり。

obscurumとmeifoliumは全く似てない。
dentatumとasae-grayiも全く似てない。

Abrodictyum asae-grayiとAbrodictyum laetumは同種と思うほどに姿かたちはそっくりなのだけど(根茎が這うか、根茎が立つかの違い)

Abrodictyum laetumは、meifoliumでも、asae-grayiでもなく、
あろうことかAbrodictyum dentatumから特殊化し派生したのだと言う。
しかも…ニューカレ固有。

…何この変な共通項?
神秘的でしょ?
不思議すぎて眩暈がします。
ボルネオを含めた東南アジアと、ニューカレドニア。遠い遠い地で、進化の素敵なドラマが起こってます。

dentatum⇒(特殊化)⇒laetum⇒(更に特殊化)⇒asae-grayi
の流れだと思っても、…じゃあ、obscurumとmeifoliumは? 何故似ているの?
同じだとしたら…じゃあボルネオには何故laetumに該当する種がいないの?
obscurum⇒?⇒meifolium…ミッシングリンクかよ! みたいな。

じゃあいっそ、laetumとasae-grayiは無関係ですよ説を掲げてみると、
両者が何故これほどまでに似ているのかと言う疑問が首を擡げてきます。
しかも生息地がほぼ同じ。無関係と言うには怪しすぎる二種…

laetumとasae-grayiは関係あるけれどmeifoliumとは無関係だよ説を掲げてみると、
じゃあ両者が何故これほどまでに以下略。
無関係と言うには葉の形が特殊すぎるのですね。

…仮説は幾らでも立つ。けれどどれも何処かで疑問が生じてきて。
進化、分化の不思議。
あぁ…面白すぎる!

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今気づいたけど白っぽいホウオウゴケの仲間と一緒に生えているね。

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噂のデンタタムと一緒に生えている。奥に進むとこれが総てデンタタムのパッチになる。

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幹が立つ。これがメイフォリウムとの違い。

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余りに繊細な葉。

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全体の株姿。

その神々しいまでの…繊細さ。
見つけたとき、とても厳粛で尊いものを目の前にしている気がしましたよ。
なんて…美しい。
図鑑でその存在を知って海外のネットで調べて、何とか大まかな生息地を把握して地図で調べて予想して、そして訪れた先で見事、出会えたこの感慨…
日本人でこれを他に見つけたことのある人は果たしているのだろうか?
と言うのは言い過ぎにしても…
独力で辿り着いた達成感と、それ以上に株の美しさに、感動…
金銀財宝の山に辿り着いた海賊の気分?

いやはや…もう、言葉も無く…。

赤土にそのまま直に座り込んで、長いこと観察していましたよ…
はぁ…



最高だ…



:追記:

栽培に関してはただいま試行錯誤中です。
輸入のショックでか二株枯れた時はヒヤッとしましたが、現状他の株にそれらしい動きは見られません。
腰水は鉢の半分くらいと深め。赤玉土に植え込んだものとミズゴケに植えたモノがありますが元気です。
腰水無しのものも育っているので微妙な所ですが…
デンタタムから特殊化したものなら強健だと思いますが、だとしても生息地のあの極端さを思えば油断は出来ません。
一応日差しと高温、二種類にポイントがあるんじゃいかと警戒しております。


:追記 2012/6/14

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目下、非常に順調に成長しております。
葉の出る速度は周期があるようで、調子のいい時は一度に三枚ほど葉を伸ばしますが完成するのに非常に時間がかかります。動いたり動かなかったり。少なくとも動かなかったり動かなかったりするよりはましと思うしかありません。仕方がない子ねぇ、もう(満面の笑顔)

ところで、驚くべきことに家で一番大きな株に無性芽が付きました。
これは嬉しい!
胞子培養が至難で、また幹立ちする種は株分けもできず、如何に増殖するかで頭を抱えるこのタイプ。これで何とか増殖の目途も立ちました。無性芽出すならしめたものです。
世界的にも珍しい形態で、ニューカレドニア固有種で、しかも美麗種。おまけに割と育てることも可能で、幹立つコケシノブにしては珍しく増殖の目途も立っている…無敵ジャマイカ!
ホント嬉しい。それしか言いようがない…

頑張って育てようぞ…
by green-2-gleaner | 2012-06-14 22:57


あの日見たシダの名前を僕達はまだ知らない。


by ゆう

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