Drynaria sinica中国四川省産

2014/1/4
Drynaria sinicaとの事で入手したものです。
去年出会った方から、中国からシダを輸入したいがなんか面白いのない? とお話を頂き、中国の図鑑を取り寄せてもらったりしてあれやこれやと何だかんだとすったもんだイロイロあって(適当だな…)

紆余曲折を経て、ようやく手に入った中国の天然採取もの、ドリナリア。
中国の業者さん曰く、Drynaria sinica。
でもその業者さんはシダに詳しい方ではないそうなので、その名前がどこまであてになるかちょっとだけ不安だったのですが、どうやら本当に合っているらしいと最近になって思い始めてます。
一体何が届くか不安でありましたが(こんなのが手に入る、と送られてきた参考写真が…HPの転載だった時は鳥肌立った…でもそれぐらいのリスクは承知の上が輸入らしい)届いてきてみればなんとまぁ、今まで見た事も聞いた事もないようなへんちくりんな面白い種で「これは熱い!」
冒険もしてみるものですね。
でも此処で賭けに勝っちゃったから年末ジャンボが当たらなかったに違いない。

海外の業者さんを通じた輸入って大変ですね。
既に経験しているからでしょうが、採取の方が気楽に思えてしまいます。
どちらにせよ、どんな方法であっても、海外の面白い植物を手に入れようというのに、リスクは付き物だし困難は前提なんですね。
世の中甘くないし、楽な手法なんて転がっちゃーいないし、だからこそ面白い。

…。

あ。ごめんなさい、「苦労話はいいから植物はまだか!」ってそろそろ怒られそうだ(爆)

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2013/12月の写真。

珍しく着生させずに平鉢植え何て安全策を取っている。
根茎だけで到着と言う一見オソロシイ状態であったけれど、育ててみれば全部活着で死着ゼロと言う在り難い結果に。

ちなみに、



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自生地写真。
イロイロあって本当にこの子の自生地写真なのか…? と疑っていましたがそろそろ信じてもよさそうです。
ちぢれた根茎、赤くなる新しい葉。葉の形など、特徴はほぼ一致しています。

産地は中国・西四川省の標高1500m。
岩や樹上に着生。

四川省の西で1500m以上と言う事は西部高原地域あたりでしょうか。
結構気温が下がるエリアですね。
冬の屋外無加温は怖いですが、カザリシダぐらいには耐寒性在りそうですし、無加温温室や室内に取り込む程度の保護で冬を越しそうな気がします(推測にすぎませんが…)
むしろ夏が暑がる可能性がありますね。
とは言え、クール植物みたいに扱う必要はないかと。

と言うか、と言うか!
自生地写真にPyrrosia sheareriみたいなの写ってるし!
あれ、以前勤めていた植木屋兼ラン屋さんで毎年無加音で越冬してるんだけど。
別に暑がる様子も無く夏も元気なんだけれど。
全く同じ条件とは思いませんが、中々に丈夫な種類なのではないかと思います。

サラッと流したけれど赤くなる新芽って言うのもなかなか特徴的。
そう言うドリナリアってあんまりなかった気がする。


Drynaria sinicaはウィキペディアではチベットのネイティブと言う事になっていますが、中国のHPや図鑑の情報を見ると四川のみならず雲南やその他でも見られるとの事でちょっとだけ食い違っています。
とは言え、植物の専門資料とウィキペディアのどちらを信じると言われれば、まぁやっぱり資料の方を優先いたします。
ウィキペディアは便利ですが絶対正しい万能辞典だと思うと足元すくわれそうですし…そこで「やっぱり中国はw」とか思いたくはない。
中国の図鑑の中にはまったく分布していないはずの無い植物が堂々と「わが国にもある!」と書かれていたりするから気を付けてねと大師匠から指摘を受けて、実際に手元にある図鑑でそう言った記述がないかと探してみれば、あーまーあるある、確かに明らかに分布していない植物が堂々と載っている。そんな事実も目の当たりにしても、それでもなお。それはそれこれはこれであります。…選択的思考ではないかと不安にもなりますが、しかし専門書や数々のサイトとウィキペディア一つじゃさすがに比較にならない。
引っ掛かりは感じますが、中国の情報を信じようと思います。

思うに、シニカには様々なシノニムがありますから、その辺でイロイロごちゃになっているのではと思いますし。
手持ちの資料にもsinicaはシノニムとして記載されていて、メインはbaroniiと言う事になっています。
じゃあDrynaria baroniiとして紹介しろよと言われそうですが、sinicaとして入手したというのが一つと、手元の資料のbaroniiのほうが何故かヒットしにくく、sinicaの方が圧倒的に通りが良かったのがもう一つ。
そう言えばウィキにはbaroniiの記載がそもそも無かったので、その辺に何かからくりがありそうですよね。
ともあれ、イロイロ面倒な話ですがsinicaと言うことでここはひとつ。


と言うワケで。
ここまでが、「sinicaが中国に分布していてもおかしくない」と言う部分についての考察。
でも「実際にこいつがsinicaかどうか」は、まだ全然手付かずですよね。

と言うワケでこの面倒な話は続きます←

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縮れた金毛の根茎。

まずこの時点で大体の種類は省けますね。中国産のドリナリアと言うことで大抵の人が諦めに満ちた表情で「どうせフォーチュネイなんだろ…?」と怨嗟と共にぼやくと思いますが、この根茎を見ればその目に少しだけ希望が宿るはず。

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いやいや実はダバリアじゃないの? と更に疑う用心深い方に、シールドリーフの断片。
業者さんにはこれ、ぜひ置いといてもらいたかったけれど、残念ながら切られて届いてしまった。
けれど痕跡は確かにある。と言うワケでドリナリアには違いない。

まぁ、この時点では私もドリナリアspとしか言いようがない。

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赤い新芽。

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明らかにフォーチュネイではないですね(とかエラソーに書いているけれど、この時点では私、フォーチュネイを見たことありませんでした。今は持ってるから比較できるぞ…!)

ここまで来ると、形態的特徴と産地から結構絞れます。
西四川省の産地でこの形となると、sinicaとdelavayiのどちらかかなーと思うわけですがこれがまた良く似ている…
現状では葉の情報が不足している(なんせ栽培下の不安定な葉しかない)ので、どちらとも言えて、なにか決定的な差がないものかと調べても、中々に見つからない…
資料を見るとsinicaの生息域の標高は1380-3800。
delavayiは1000-1900(-2800-3800-4200)と書いてあるが意味が解らない。
どちらにせよ被っていますから標高では断定できない。けれど四川ではdelavayi標高3000mとか書いてあるのもあったので、ちょっとしたヒント程度に…

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胞子が着いた。これで先述の二種に絞られた。

ここからが難しい…
取り敢えず中国語の情報を片っ端から翻訳して読み解いて二種の情報と手持ちの株を比較して比較して比較して、本当にその情報が合っているのか裏付けは難しいのでいくつも別に情報を探して、んで。
んで。
よーやく! 何とかそれっぽい見分け方を確認。
やっぱり最後に唸るのは植物画だね…。目を皿のようにして見比べて、ようやく、sinicaには微妙に、びっみょーに! 鋸歯があるのに、delavayiにはそれがない事に気付いた。
あわてて特徴の翻訳を読み返せば成程、確かにその通り。
と言う事は検索表があれば一発で分かった気もするけれど、そんな情報見つからなかったんだから仕方がない。
手持ちの株を見ると…あった! おっそろしく微妙な鋸歯があった!

と言うワケで結論sinica。
勿論、絶対100%なんてこの世には無い…何だかんだと言ってシニカは本当にチベットのネイティブかも知れないし。
一つの情報を信じずいくつか比較した上だけれど、もしかしたらそれが全部間違っているかも知れないし(実際真逆になっているサイトがあった。いい加減だ)
でも。じゃあ、この時間は全くの無駄だったのか?
やーそうかも知れないねー。

でも。
面白かったことは間違いない。
そしてこいつが面白いドリナリアであることは最早疑いようは無い。


ここまでして正体が「絶対」と断定できないもの。
それこそが野生天然自然の植物であり、だからこそ面白い!
ちゃんと名前が解っているというのが実際どれほどありがたい事なのか…
しかし言い換えればspと言う言葉にはこれだけの面白さが詰まっているという事。
たった一種の植物でこれだけの探求が出来るという事。

根茎が届いてから一ヶ月、いや二ヶ月?
フルで楽しませてもらいました。
植物名をきっちり調べるというのは本当に難しく、そして決定打を見つけたときの達成感は何物にも代えがたいものがあります。
バードウイングファンがまだ何者かわからなかった時に、Teratophyllum aculeatumに辿り着いた時も雄叫びを上げるほど嬉しかったものです。



それは大好きな植物のラベルに記された、spの文字を書き換えるためだけに。




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美しい赤い新芽。
やはり素晴らしいものですね。

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岩着生と言うことで、鉢植えにしているのでもあります。
中は溶岩石と用土。
まぁ、これは養生用で、そろそろ格好いい自然石を用意したいなとは思っています。





しかし。
こうなってくるとdelavayiとか他のドリナリアも欲しいものですね。
ううむ…!



追記:2015/7/20
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久しぶりにシニカ。

ひとまずご報告できる事は、兵庫県の夏は無事に越しました。
標高の高いエリアに生える植物との事で、少しだけ心配でしたが難なく夏越し出来ましたね。
勿論ガンガンの直射日光に当てて平気かどうかまでは解りませんが、午前の光が当たる様な建物と建物の隙間に置いた棚で問題なく育っておりますし、室内でも人工照明で問題なく夏越ししています。
水槽内で真夏高温多湿になって葉が蒸れて黒くなった株はありますが流石にそりゃ当然じゃよと言ったトコロ。蒸れて落ちても根茎が元気なままなので秋には復活しましたし。

そして予想通り冬も越しました。屋外で野ざらし。
雨は直接降りかかる環境でした。ただし水気が多くなりすぎたためか枯れる株もありました。
軒下などで水分を調節しつつ、カラカラにならない程度にして保護してやれば十分安全に冬越し出来そうです。と言うか、葉を落として生育が止まっているのでそれこそちょっと暖かめの場所に置いておけば安心な気もします。

ともあれ、暖地なら日本の野外でも通年栽培できるという事が解りました。
兵庫県の低地で雪もそうそう積もるわけではありませんが、降りはしますし霜はおりるし凍りもします。とは言え「この地獄に、耐えられるか…?」と言うような環境で栽培して「枯れたか、軟弱者め…」なんて言われても困ってしまいます。
とは言え青森でも屋外で越冬しているとの事ですので、相当強いのは確か。

冬越しは極度に乾燥させすぎない事と、凍ったり雪が積もったりする寒さの中ずっと水べちゃな状態にならない事。
夏越しは特に暑がらないのであれですが、風で葉が痛みやすいので台風時は気を付ける事…ぐらいかな? 強い遮光は要りませんが西日や強烈な直射日光は少し避ける方が無難かもしれません。

ミズゴケ植えで十分ですが、用土植えでも良く出来ます。着生も可能ですが育ててみた感じ、着生よりも鉢植えや石付けの方が格好良くなりそう。

しっかり根付いた状態で屋外直射日光で育てるのは今年が初めてなのでシールドは期待していますが今は未だ出ていません。
リギデュラを少し幅広くしたようなかなり格好良いシールドが出る事は現地の様子から確認できますので、ぜひ頑張りたいところですが、ドリナリアのシールド自体中々狙って出せない状態なので気長に待ちたいと思います(苦笑)

とは言え今年初めてクエルキフォリアとスパルシソラとボニーのシールドが出ました。それも人工照明メタハラにて。
室内栽培でもやればできるじゃん! と感激の至り。
これで自信をもって説明できますね。「ドリナリア、室内でも格好良いシールド出せますよ!」
(ただし、時間はかかりましたが…)


という訳で、販売できるわけでもないのにシニカの報告でした。
去年あたりからリクエストはしているのですが、注文したから中々はいそうですかと届くわけでは無いようで、やっぱり出会いは時を選ぶよう。いつでもトトロに逢えるなんてことは無いわけで、穴なくなっちゃうんです。でも、いつかまた逢えるよね?(つーかワシが増やせっちゅーことじゃ)

根茎が長く這うタイプで、成長期には十センチくらいの生長点なしの根茎から延びた根茎が五センチに達しました。生長点がある今年はもっと育つでしょう。どんどん作り込んで大株にしたいですね。時間はかかりそうだ…
その前に、私のトコロから巣立って行った子達が大株になっているかな?

蘭屋さんの棚下に、いつからあるともしれないカザリシダが美しい葉を茂らせるように、
いつまでも日本の何処か誰かの棚にあり続けるシダになってほしいな…

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深く切れ込み、盾と言う程シールドはしていないようだけれど、シールドなら茶色く残って落葉しないはず…それっぽい葉を出したという方は、落葉しない(しにくい)かどうかで判断できるはず…通常の葉はぽろっと落葉しますものね。
夏場は気付かなくて、冬になって枯れのこって初めて「ごん、お前だったのか…シールドリーフは」と気づくことになるのかもしれません(笑) そんな感じの葉がいくつかあります。シールドな様なシールドで無いような、相の子のような、生育の途中で「やっぱやーめた」した子のような…栽培だとそう言った葉が良く出ているので、ちょっと環境が揺らぎ過ぎている気がします。もっと大事にしてやらねば…
by green-2-gleaner | 2015-07-20 22:43 | 栽培方法等 | Comments(2)
Commented by マイヨ at 2015-07-17 09:45 x
初めて質問するのですが、
シニカのその後はどうなったのでしょうか?
シールドは出てきたのでしょうか?
かなり気になります。
Commented by green-2-gleaner at 2015-07-20 22:07
今晩は。シニカは今も元気です。
暑がる事無く夏越しし、冬は葉を落とし屋外で越冬しました。
シールドはまだ出ておりません。とは言え、状態が良くなるたびに増殖や販売をしたため、シールドが出るほどに作り込んだ鉢にまで育てていなかった部分があります。
今年は販売を停止して作り込んでおりますので、この夏ないし来年の夏にはシールドを作りそうなぐらいに作り込めると思いますが、当方の栽培環境だとスパルシソラさえ三年越しで初めてシールドをつけたくらいなので、シニカのご機嫌を取りつつ気長に待ちたいと思います。


あの日見たシダの名前を僕達はまだ知らない。


by ゆう

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主にコケシノブ科植物を探す中、気になった植物を見つけては一緒に持ち帰り栽培しています。

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